平成23年度施政方針
平成二十三年度町長施政方針
「光陰矢の如し」といいますが、歳月の経つのは実に早いもので、平成十四年二月二十四日町長に就任して、今年で十年目を迎えることになりました。
「清潔、公正、開かれた町政を目指し香春町を元気にします。」をスローガンに掲げ住民のニーズに対応し、住民本位の町政を推進して参りました。
ご承知の様に各自治体を取り巻く行財政環境は、極めて厳しい状況にあります。
とりわけ小規模自治体は高齢化・過疎化等諸問題が山積し、今日ほど各首長の指導力・経営能力が問われている時はなく、その責任の重さを痛感しています。
私は、急激に変化する経済、社会、政治情勢に的確に対応しながら、町の活性化を図り、限られた財源と人的資源を有効に活用し、個性と魅力あふれる地域づくりを推進して参ります。
また、皆さんが安全・安心して豊かに暮らし、「郷土香春」に愛着と誇りが持てる町づくりに積極的に取り組みます。
〈将来町づくりの基本的考え方について〉
一、地方分権改革を軸とした町づくりを推進します。
菅改造内閣は、施政方針で「地域主権改革の推進と行政刷新の強化・徹底」を重要政策と位置付けていますが、地方分権への時代の潮流を、後戻りすることなく着実に進行させることは、我々行政を担う者の責任であると思います。
地方分権一括法が平成十二年四月施行されたことで、国と地方の関係は形式的には、新たな段階に入りました。
今までの「上下・主従関係」から「対等・協力」の関係となり、各自治体が「自主・自立性」を発揮し得る制度と運営の確保が法的に保障されたこととなり、中央政府主導の縦割り行政から住民本位の総合行政へと大きく転換することになりました。
換言すれば分権改革は、これまでの国の中央集権体制から脱皮して、地方自治体の自己決定権を拡充する方向で改革することです。つまり、国から地方自治体へできる限り事務権限や財源を委譲して国による関与を廃止または縮減することによって、地域の問題を地方自治体が責任をもって政策決定し解決を計り、主体的に従来の制度を見直していくことだと考えます。
私は、この視点に立って分権改革を推進してまいります。
二、分権改革を推進するために、次の三つの基本原則の確立を目指します。
(1)分権改革の推進は、地域問題への対処等当事者としての能力を高めるとともに、その決定結果に対し、より重い責任と説明責任を負う自覚が必要となっています。
私は、民間企業の経営者が持つ経営感覚や経営手法を行政経営、地域経営に取り入れていく所存です。
また自治体経営は、多くの職員の努力によって成立っています。政策・企画の立案、そしてその政策の実現が効果的、迅速に行われるよう職員の意識改革を進めます。
(2)自治体の主役は、その地域に住む住民です。
自治体を一つの企業として考えるならば、住民はお客様であり株主です。その多様なニーズに的確に対応し、実行することが経営者としての使命です。住民主役の町づくりを進めるには、自治体が所有する情報の徹底した開示が必要となります。
住民が自治体の経営実態を知ることにより、より透明性を高め、政策・財政など情報を共有することによって住民本位の行政を推進することができます。
(3)住民参画・協働の町づくりを推進します。
近年、人々のライフスタイルの変化、価値観が多様化しています。
家族や地域社会での「絆」や意思疎通が希薄になっています。このような社会状況の中で、「住んでいて良かった。今後も住み続けたい」と思える町、皆さんの満足度を高める町づくりには、住民と自治体職員がパートナーとして相互に協力して行政施策、サービスの質を高めるために共通した認識に立つ、住民参加型の行政を目指し積極的に推進して参ります。
次に平成二十三年度町長施政方針に入ります。
1、「人づくりはまちづくり」まちづくりの根幹である教育改革を推進します。
(1)教育は、人格の完成を目指し、個人の能力を引きだし、自立した人間としてより良い人生を送る上で不可欠のものです。
また、国家や社会の形成者である国民を育成するという使命を担うものであり、国の将来を左右する最重要事業でもあります。同時に人類の永い歴史や文化・文明が代々継承されてきたのも教育の営みを通じて次世代に伝えられ、より豊かなものへと発展してきた証です。
こうした教育の持つ本質は、今後いかなる時代になろうとも、いかなる社会変化があろうとも決して変わることのない普遍的原理です。
(2)教育をめぐる現状と課題
近年わが国の学校教育の現状を見ると大変憂慮する状況になりつつあります。
子どもの学ぶ意欲や学力・体力の低下が顕著となり、学校内におけるいじめ、暴力行為、不登校の増加、少年犯罪の低年齢化等の問題行動の多発も指摘されています。
このように子どもたちを取り巻く教育環境の変化の背景には、社会において責任ある立場の者や大人社会の規範意識や倫理観の低下が強く影響しているとも言われています。
私は、学校、家庭、地域、行政が一丸となって基本的生活習慣の育成、基礎学力の向上、健康な体力づくりに取り組むことが重要であると考えています。
(3)町内の小中学校生の学力を平成二十二年度実施「全国学力学習状況調査」(全国学力テスト)結果で見ると次のようになっています。
小学校の国語A77.2(全国83.3)、国語B67.2(全国77.8)、算数A68.0(全国74.2)、算数B40.4(全国49.3)。
また中学校では、国語A63.4(全国75.1)、国語B56.5(全国65.3)、数学A44.2(全国64.6)、数学B26.3(全国43.3)となっています。このように小学校、中学校共に全国平均を下回っています。
また、文部科学省は、先月「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)結果を公表しました。それによると福岡県の中学二年男子39.43(42位)、女子44.87(46位)、また小学五年男子53.35(38位)、女子52.92(43位)と言う結果になっています。
この結果を直視し、学力向上・体力向上の当面の目標を全国平均に設定し、目標達成のために集中して取り組みを強化する必要があると考えます。
(4)本町の教育の方向性について
全国的に教育の危機が叫ばれる中、本町に於いても少子高齢化が進み、児童生徒数が減少しています。このことは学級数の減少や小規模化に連動しています。
本町では、「教育振興基本計画策定委員会」「小・中学校再編推進準備委員会」で審議検討をいただいている最中なので、その結論を得て教育関係者と連携を密にし、具体的施策を実施して参ります。
二、地場産業の振興と雇用の創出を図ります。
(1)今わが国では、デフレ基調経済に伴う急激な円高・株安のもと内需の減少と地域経済の低迷、さらには雇用情勢も厳しさを増しています。とりわけ非正規労働者の契約打ち切りや雇い止め、新卒者の内定取り消しが頻発するなど深刻な雇用問題が生じています。
この様な情勢の下、新な企業誘致・企業創設は困難になっています。
私は町内の製造業、食品工業、福祉関係施設等との連携を強め、育成強化を図りながら雇用の拡大を図っていきます。また、商工会との一層の連携を強め、観光協会主催の三大イベント等へ企業、団体等の積極的参加要請を行うとともに、会社紹介や様々な製品・企業内容等のPRに努め、その育成を図ります。
(2)中小商工業者は、スーパー、コンビニ等の大型チェーン店の進出などによる消費傾向の変化の中で「品物が売れない」「仕事がない」等大変苦しい経営状態が続いています。
私は、次の三つの方策を推進することにより、商工業の活性化を図るべきだと考えます。
一つは、商工会関係者、行政を中心にして組織を立ち上げ、現状分析を行い、その徹底的な討論によって方策を定めて、その実現に向けて力を集中することです。
二つは、町の発注する公共事業では、地元業者の受注機会の均衡が保たれるように公正な入札制度を堅持して来ました。また町内工事で他の公共団体の発注に於いても、その受注機会が地元業者に行われるよう関係機関に要望しています。
昨年完成し、販売開始した香陽台分譲団地五十二区画は、二月末までに十区画を販売することができました。今後住宅の建設・資材購入にあたっては、可能な限り地元業者の利用を働きかけて参ります。
三つは、町の助成事業の拡大です。
太陽光発電設置事業、高齢者住宅改造事業等に、町単独の助成を行っています。現在、各方面から「住宅リフォーム」助成事業の創設要望が上っています。今年度中に創設する方向で検討を始めていくつもりです。
三、農業の振興について
(1)農業を取り巻く環境は、一段と厳しさを増しています。国際競争力の低下、耕作放棄地の拡大、担い手の高齢化、後継者不足、所得の減少、TPP問題などの要因が複雑に絡み農業は、衰退傾向にあります。
他方食の安全・安心や食育への関心も高まっています。
農業の振興については、基盤整備事業、農業施設改修事業、営農指導体制の確立、有害鳥獣被害防止、米の計画的生産の推進、道の駅の物産直売所を活用した農業の活性化等に取り組んできました。その結果一定の成果を上げることが出来ました。
但し、後継者の育成や稲作以外の作物栽培による水田有効利用や耕作放棄地の解消が課題となっています。
認定農業者、作業受託部会やJA田川等と緊密な連携により課題解決のため取り組みを強化して参ります。
(2)道の駅の販売体制の強化を図ります。
開駅から二月末で一年四ヵ月が経過しました。二月末現在「わぎえの里」の総売上げ額約三億七千五百万円。レジ客数は三十三万四千人超となり、一日平均売上げ額七十八万一千円、レジ客数七百九人で今日まで予想通りの伸びとなっています。
高齢者や女性等に活動の場ができ、個人所得や交流人口を増やすなど波及効果も出始めています。今後道の駅の販売体制を強化するために、(1)一定量と安定供給の確保(2)魅力ある品揃え(3)新商品や特産品の開発(4)組合員の育成と拡大(5)運営組織の改革・改善等を関係者と連携しながら推進して参ります。
また、集客数の確保を目指し、地産地消の立場から町内の業者などに利用拡大、買物弱者に対する対応やインターネット販売、町外者に対するPR活動等を検討する必要があります。さらに近隣の道の駅と連携して、各駅共通して買物ができるポイントカード等の発行を考えていくつもりです。
四、道の駅「香春」を拠点に観光の町づくりを推進します。
(1)香春町は古い歴史と文化的基盤を持ち、地域には旧所名跡と文化財が数多く存在しています。また奈良・平安時代には太宰府官道も通り交通の要衝として中央政権や大陸文化の中継地として栄え、渡来文化の窓口でもありました。
特に本町では、我が国でも最も早い時期に香春岳から産出する銅鉱石の採掘・精錬が行われています。鋳造された銅は宇佐神宮の御神鏡に、遠く奈良大仏建立、当時の通貨皇朝十二銭の材料としても使われたと伝えられています。さらに万葉集にも香春を詠んだ歌が七首収められており、万葉の里でもあります。
私は、行政が主体となって町内にある資源(自然、文化、歴史、産業、人材等)と道の駅「香春」を観光に活用し交流人口・定住人口を増やし、活力あふれる観光のまちづくりを推進します。
(2)近年、観光に対する考え方やニーズが大きく変化しています。
観光が、健康や保養のための心身のリフレッシュ、自然や人との触れ合い交流の欲求の高まりから、日程消化の観光地各所を見て回る周遊型でなく、ゆっくり、じっくり、自然観察や農業、陶芸などの体験・学習型の観光が求められるようになってきています。つまり、個人の価値観やライフスタイルが多様化し、”見て回る”観光でなく、自分の価値観に合った”より深い感動・喜び”を得たいと言う思いがあり、とりわけ訪ねた土地で、何が体験できるのか、どのような出会いがあるのかといった地域での交流の型が重視されるようになっています。
これらの情勢の変化に対応できる「観光の町かわら」を目指します。
(3)香春町「観光活性化計画」による六点の方向性と対策への取り組みを進めます。
1、三大イベントの充実・強化
2、筑豊のシンボル「香春岳」の観光資源化
3、豊かな自然・歴史史跡に対する新たな価値付け
4、観光資源の計画的な整備・広域連携
5、新たな観光資源の発掘、創造
6、観光ボランティアの組織化、人材確保と育成
現在それぞれの分野で取り組みが進められていますが、より一層総合的に推進するためには、活動の中心となる組織づくりが必要です。
香春町観光協会や田川地域観光推進会議等と緊密な連携を取りながら資料の収集と組織化に向けて取り組みます。
議員の皆さん、並びに住民の方々の変わらぬご協力とご理解を申し上げ、平成二十三年度町長施政方針を終ります。
平成二十三年三月八日
香春町長加治忠一





















