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平成22年度施政方針

平成二十二年度町長施政方針
〈はじめに〉
平成二十二年二月二日(火)午後五時、自分以外に立候補の届出がなく、香春町長選挙で私の無投票三選が確定いたしました。
一瞬安堵する気持と無投票当選と云う皆さんの大きな期待と経営能力が問われている今、町長としての責任の重大さを痛感し、身の引き締まるような緊張感を憶えています。
同時に、政治信条にしてきた言葉が浮んできました。
論語にある「信なくば立たず(民無信不立)」です。孔子が弟子の子貢に「政(まつりごと)とは何か」と尋ねられて、語った言葉とされています。
国民に政治や政治家を信頼、信用する気持がなくなったら、国家は、成り立っていかない、と云う意味であります。
いま、国や自治体で「政治と金」の問題が大きな社会的関心事となっています。そのことが国民の政治不信と不安感を増幅させ、政治離れや政治に対する信頼感を著しく低下させていることは間違いありません。
このような時代にあってこそ町政を担う首長が果すべき最大の仕事は、政治に対する信頼感の回復と行政が保有する情報を公開し、透明性を高めると共に政治家としての倫理性の確立に努めなければなりません。
私は八年前「清潔、公正、開かれた町政を目指し香春町を元気にする」をスローガンに、当時町政を覆う閉塞感と政治不信を解消するため、情報公開と政治倫理の確立を徹底して図って参りました。同時に入札制度改革を実施し、行政の透明性を高め、皆さんの信頼感を得る開かれた町政を実現するため今後も頑張る所存であります。

〈情勢の特徴〉
1、国の動き
今わが国の政治は大きな変革期にあります。
ご承知のように昨年八月三十日実施された総選挙で変化を求める国民の圧倒的支持を得て戦後初の「政権交代」が実現し鳩山連立政権が誕生いたしました。
新政権の基本政策は次の二つに要約することができます。
一つは、地域主権の実現です。いままでの国と地方関係を見直し、役割分担を明確にし「地方でできることは地方でする」を原則に将来的には、事務事業・権限や財源も地方に移譲するというものです。
二つは、国民主権の再構築です。「コンクリートから人へ」に象徴される様に生活者の目線に立って住民本位の政策に転換しようとするものです。
その第一歩として今年度予算で地方が自由に使える地方交付税十六兆九千億円(前年比一、二兆円増)とし、各自治体が地域社会のニーズに適確に対応できる政治に転換するよう強く求めています。
町政を担う私は、この政策を積極的に推進することによって、この国のかたちを「地域主権」を基に新なものとする社会の構築を進め、希望と活力のみなぎる分権型の未来社会を築くために諸政策を推進して参ります。
地方分権改革の目的は、それぞれの自治体が主体的な権限をもち「自己決定、自己責任」で、特色ある地方自治の確立をすることにあります。

2、行財政改革を引き続き推進します。
現在、急速に少子高齢化が進行するとともに厳しい財政状況のもと、更なる行財政改革が進められようとしています。こうした背景のなか、本町においても逼迫する財政状況、町を取り巻くさまざまな構造と変化に対応し、自立した町行政の実現のため、行財政の効率化と事務事業の見直しについて抜本的な改革が急務となっています。
私は、限られた財源と人的資源を有効に活用し、個性と魅力あふれる地域づくりを進めるため、全ての事業を見直し選択と集中を行い、真に必要とされる事務事業を効率的に実施して参ります。

次に平成二十二年度施政方針に入ります。
将来の町づくりの目標は、「香春町の価値を高め誰もが安全・安心して豊かな日常生活ができ誇りと愛着が持てる町づくりを目指す」ことです。
そのため次の三つを重点施策とし取り組みを強化いたします。

一、教育の町「香春」づくりを推進します。
1、国家の根幹は「教育」にあります。
(1) 教育は国家百年の大計です。
小泉元首相が国会演説の中で紹介した「米百俵」は、戌辰戦争で廃墟と化した長岡藩に親戚の三根山藩から百俵の米が送られたとき、城内ことごとく餓えて、その配分を願う声が高かったが、小林虎三郎大参事は藩士たちの白刃の脅迫にも動ぜず、「分配すれば三日で米はなくなるが、これを売って学校を建て人材を育てれば百年後、二百年後の繁栄をみることができる」と説いた故事であります。後に「国漢学校」を設立、見事な人材教育を果しました。
(2)「人づくりは国づくり」であり、人材育成は国家発展の基礎であり、子どもたちに対する教育は国の将来を左右する最も重要な政策です。また、将来を担う青少年が豊かな社会性と創造力を持ち、自ら考え、責任ある行動ができる人間として成長していくことは住民全ての願いです。
私は、家庭、地域社会、学校、行政など関係者が連携を強め、地域総ぐるみによる青少年健全育成を目指し、教育の町「香春」づくり推進をすることは、私に課せられた責務だと考えています。

2、子どもを取り巻く環境変化について
(1) 科学技術の発達は国民生活を豊かにする反面テレビや携帯電話、インターネットなど情報メディア等の発達で、様々な情報が氾濫し子どもたちを取り巻く環境も大きく変化しています。
また、小中学校のいじめによる自殺や親子間の育児放棄・虐待、傷害事件など、子どもに係る異常な事件が続いています。
子どもの世界は大人の世界を映します。子どもの世界がおかしいと云うことは、実は大人の世界で何か異常な事態になってきている証です。
私はこうした社会の背景には、家族の崩壊や地域社会の崩壊があると考えています。
(2) 教育面から見れば、今日子どもたちが抱える課題として、「自尊感情の低下」「規範意識の低下」「学ぶ意欲の低下」「学力・体力の低下」と捉え、これらを解決するために各自治体で取り組むべき行動計画を提示しています。
それは、
「1」家庭の教育力の向上
「2」地域の教育力の向上
「3」実体験を重視する教育
「4」各学校間の一貫した教育方針
「5」校長を中心にした教育体制の確立
「6」学校を支援する体制の確立と位置付
けています。
この方針に沿って具体的行動の主体となる学校、家庭、地域に於ける方針と行動計画を策定する事が緊急の課題となっています。
(3) 勾金中学校の再生、教育活動の向上を図ることは最重要課題です。
平成二十年三月あの事件以来中学の動向に多くの皆さんの強い関心が集っています。
当時中学校から提出された「中学再生プラン」によると、最終目標を「全ての生徒の進路を保障する」ことと位置付け、具体的方針を提示しています。
それを実現するために、確かな学力を保障し、規範意識を醸成し、人間の「絆」を深めさせる等の生きる力を育成する。と述べています。
この目的達成のため
・ 学校体制の再構築と家庭、地域との連携強化
・ 進路指導を中核にした学習指導と生徒指導の充実
・ 教育活動を支える環境整備
この三分野で学校、家庭、地域、行政が一体となって正常化に向けて取り組んで参りました。
その結果、授業態度や日常生活も落着きを取戻して来ていますが、二年間経過した今日まで満足できる状況になっておりません。今後も引き続き目標実現のため地域全体で見守ることが重要です。
(4) 私が小学校に入学した時、教室の正面に掲げられていたのは「よく学び、よく遊べ」の言葉でした。
また、子供の頃、親や先生から教わった事は「嘘をついてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない、正直であれ、欲張ってはならない、自分のことばかり考えるな、人の物を盗ってはならない」など簡単な言葉で何度も繰り返したたき込まれた事を今も鮮明に憶えています。
どのような時代変化や子どもを取り巻く環境変化があろうとも、昔も今も学校教育の本質は不易であると考えます。
加えて学校教育は、学校は勉強する所であり教える側と教えられる側の立場を明確にし、「強制と反復」を前提としなければ、教育は成立しないと考えています。
厳しい現実にある今こそ、地域全体で教育の町「香春」づくりを目指すことが重要となっています。

3、具体的取り組み
(1) 香春町教育振興基本計画(仮称)を策定します。
(2) 元気、挨拶、読書の町づくりを推進します。
(3) 勾金中学校の正常化に向けて一年を目途に集中的に取り組みます。
(4) 小中学校の統廃合については、実現に向けて取り組みます。

二、道の駅「香春」を中核にした地場産業の振興と特産品づくりを推進します。
1、地産地消を推進します。
(1) 道の駅「香春」に係わりを持ち働いている人は現在二七三名となっています。
開駅から一二三日経った二月末の「わぎえの里」の総売り上げ額は一億円超、客数十万人超となり、一日平均売り上げ額約九十万円、客数約八百二十人で、今日まで予想通りの伸びとなっています。
また、利用客の状況(アンケート調査による)は、香春町内11%、北九州32%、田川市郡19%、行橋市8%、築上町8%、飯塚、直方市7%、その他4%、県外11%となっています。
(2) 高齢者や女性等に活動の場ができ、交流人口を増やすなど波及効果も出始めています。
地域活性化を推進する要件は雇用の場をつくり住民の所得を増やすことです。
今までは、小規模な田畑で自家用作物を栽培していたものが商品として販売できるようになり、新しい意欲を生み出しています。
開駅によるメリットとしては
「1」小規模農家でも、自分の作業能力、農地の広さ等を考え無理なく
計画を立て生産販売ができる。
「2」自分で価格設定ができ、生産者と消費者が顔が見える関係で主体的
販売が可能になった。
「3」作物の生産者が確認でき安全、安心、新鮮な農作物の提供ができる。
「4」流通コストの削減となり、販売によって個人の手取りが確保され、
また消費者も新鮮、割安の農産物を自分の目で選ぶことができる。
「5」加工商品の開発や観光資源と連携することにより交流人口の増加
や六次産業化も可能となりました。

2、地場産業の振興と特産品づくりを推進し
ます。
(1) 地域を活性化するためには産業活動が活発でなければなりません。
つまり経済の再生産が拡大すれば、人口、商工農、文化、施設、建物等も増え、定住・交流人口も増加してきます。
そのためには、既存の地場産業を発展させるか、工場等の誘致を図るか、新たに産業を起すか、を複合的に推進し、雇用を増すことが必要です。
また、町内業者の中には、東南アジア(特に中国、タイ、台湾)に進出するまでに成長したものも出始めています。
(2) 先日テレビを見ていたら「ふるさとは宝の山」と言う報道がありました。全国でも先進的な取組みで有名な「ゆずと森を届ける馬路村(高知県)」等、三町村の地域おこしと特産品づくりが紹介されていました。
どの地域でも共通している点は、地域で組織を立ち上げ、自分の住んでいる地域の良さを発見し、秀れた資源や「負の資源」、恵まれた環境や条件を見い出し、そこに一点集中して開発を進め特産品作りを目指しています。
私も今後地域の住民にとって、自慢できるもの誇りに思うもの、夢のあるものを作り、道の駅「香春」を拠点として全国に発信していくことを考えています。

3、具体的取組み
(1) 道の駅「香春」の販売体制を強化します。
・ 出荷者の拡大(量と安定供給)
・  魅力ある品揃え(品質管理、新商品・特産品の開発)
・  集客数の確保(町民の利用拡大、リピーターの確保、インターネット販売等)
・  組織運営(組合員拡大、運営改善等)
(2) 地場産業の連携を図ります。
(3) 定住、交流人口を増やします。
・ 高野住宅団地販売
・  国道二〇一号、三二二号の整備促進
(4) 田川農林高校跡地の利用検討します。

三、住民参画・協働による地域ぐるみの町づくりを推進します。
1、地方分権一括法が地域住民の行政参画を促進しています。
(1) 地方分権一括法が二〇〇〇年四月施行された事により、国と地方の関係は形式的には新な段階に入りました。
国と地方の関係を、これまでの「上下・主従」関係から「対等」な関係へと改め、文字どおり地域のことは地域住民が決める民主主義の原点に帰ろうとする地方分権改革であります。
地方分権とは、自治体にとっては主体的な判断で行政運営を行うことであり、それに伴って直接責任が生じることになります。
また、自治体が直接責任を負うことにより、住民の意思をより強く行政に反映させる必要性や住民参画の必要性がますます重要になっています。
(2) 地域づくり、まちづくりの主役はそこに住む住民です。いままでは「地域づくり、まちづくりは行政が行うもの」といった認識が一般的に強く、住民は何でも行政に持ち込み、依存する傾向が強くありました。
しかし、国、地方の税収が極端に落ち込み財政的に厳しい状況が続く中、従来のように全ての住民のニーズに対応できなくなって来ています。
そのため、行政側から行政コストを積極的に住民に知らせ、行政の役割と共に住民の役割分担を明確にし、「自分たちで、できることは自分たちで行う。」と云う意識改革が必要になっています。
(3) 近年激増する自然災害をきっかけに全国的にボランティアの重要性が広く認識され、まちづくり、環境、福祉、国際交流など様々な分野での住民参加が進んで来ています。
ボランティア活動は自発的参加が基本ですが、住民が活動を通じて人と交流し、学び合う中で自らの生き甲斐と喜びを見出すものであり、住民との協働のまちづくりを推進するためには、即応的に対応できるボランティア活動の役割がますます重要となっています。町内には多くのボランティア活動をしている団体があります。たとえば「金辺川を楽しむ会」では、年二回の清掃活動や河川の清掃、草刈、サケの稚魚の放流などの奉仕活動を行い社会貢献をして頂いています。

2、住民主役の香春町をつくる為には、情報公開制度の活用が重要になっています。
(1) 住民の皆さんが政策や行政に意見を言ったり、批判するために、行政が保有する必要な情報を知る手段が補償されていなければなりません。
この制度は、住民の政治・行政への監視と参加を促し、公正で民主的な政治・行政運営を実現するとともに、透明性を高め、住民の政治・行政に対する理解と信頼を一層深めることになると思います。
(2) 今年度は「地域が変われば町が変わる」をスローガンに、ふる里かわら三大まつり、小学校における校区運動会、宮原区休耕田利用コスモス畑、行政区毎の敬老会、町内一斉クリーン大作戦等地域の皆さんの総参加に地域ぐるみの運動を強化して参ります。
地域での取り組みや行事に参加し、皆さんの豊富な経験、知恵と汗を流し、相互の「絆」を強め地域が活力ある元気な地域になるようご尽力をお願いいたします。

香春町は歴史的、地理的条件からも、将来大きく発展の可能性を秘めた町であります。
住民の皆さんが、安全・安心して暮らしができ、誇りと愛着を持ち活力ある香春町を目指し、全力を傾注して取り組んで参ります。
議員各位、並びに住民の方々の変わらぬご支援とご理解を申し上げ、平成二十二年度町長施政方針を終ります。

平成二十二年三月九日
香春町長加治忠一

香春町
〒822-1492
福岡県田川郡香春町大字高野994
TEL 0947-32-2511 FAX 0947-32-4815